京都観光の王道と言えば神社やお寺巡りに始まり、歴史の舞台となった場所を訪ねたり、おばんざいや抹茶スイーツを食べ歩いたりと挙げてみるとキリがありません。
では「漢字ミュージアム」について耳にしたことはありますか。
京都観光と漢字、一見すると何の関係もなさそうに見えますが、日本で初めての漢字を専門に扱った「漢字ミュージアム」(正式名称は、漢検 漢字博物館・図書館)が何と祇園のど真ん中に建っています。
場所は八坂神社からすぐのところで、祇園商店街に面しています。
昔中学校があったという場所に2016年に開館した日本で唯一の「漢字ミュージアム」、京都観光で時間に少し余裕があればちょっと立ち寄ってみませんか。
漢字ミュージアムの見どころ
そもそもなぜ祇園の中心に漢字を専門に扱ったミュージアムができたのでしょう。
祇園と言えば、花街や昔ながらの街並みといった京都観光のイメージが固定していますが、「漢字」や「ミュージアム」と言った単語とはあまり結びつかないような…
その前に、「漢字検定(略して漢検)」について少し触れておきます。
年に3回全国で行われる漢字検定(漢検)は、正式名称を日本漢字能力検定と言います。
小学校1年生で習う漢字のみを扱った10級に始まり、最も難しい1級は常用漢字を含む6000字が適切に使えるかどうかが問われます。
最近は留学や就業目的で来日した外国人が受験するケースも増えてきました。
漢検を主宰しているのが、日本漢字能力検定協会と呼ばれるところで本部は五条烏丸にあります。
2011年廃校となった弥栄中学校の跡地の有効活用をめぐって、京都市は広く意見を募りました。
その中から日本漢字能力検定協会のプロジェクト、「漢字の博物館」が認定されました。
漢字ミュージアムの館内に一歩足を踏み入れると、そこはもう漢字で溢れかえっています。
特に目を奪われるのが、中央にそびえたつ高さ7.8メートルの柱にびっしりと書かれたおびただしい数の漢字(通称「漢字5万字タワー」)です。
高校までに学ぶ漢字は大きく書かれ、重要度に応じて色分けされた漢字は見ているだけで気が遠くなりますが、「日本にはこれほど多くの漢字が伝わっていたんだ」と感心せずにはいられません。
1階では漢字の歴史やそのルーツがわかりやすく、楽しく学べるような工夫がたくさんあります。
8世紀の中国で12歳の子供が書いたという「論語」の写しや、1980年代に製造された漢字タイプライターなど興味深い展示物も置いてあります。
2階に上がると、ゲーム感覚で漢字を学べるようになっています。
例えばイラストに触れるとそれが今私達が使っている漢字に姿を変えるコーナーは、世代や国籍に関係なく楽しめるはずです。
すし屋でよく見る魚へんの漢字がびっしり書かれた巨大湯飲みが置かれたコーナーでは、モニターに現れたお寿司を取ると、そのネタに関する魚のクイズがスタートします。
他にも漢字に関する様々な書籍が揃っているので、調べ物をするのにも役立ちます。
ワークショップについて
ミュージアム2階にあるワークショップルームでは、月替わりで「漢字かるた作り」や「消しゴムハンコ作り」など、漢字ミュージアムならではのユニークなワークショップが体験できます。
小学生以上であれば誰でも参加可能です。
参加するには、入館料とは別に参加費用(コースによって異なりますが、100円~500円ぐらい)が必要となります。
以前は週に2、3回のペースで行われていたようですが、コロナの影響からか今年の6月から8月は日曜日のみしか開催されていません。
興味のある方は事前にミュージアムのHPをチェックして行くことをお勧めします。
近くの観光
八坂神社
祇園の顔ともいえる八坂神社は漢字ミュージアムから歩いて3分ほどの距離です。
平安京以前からこの地に鎮座している八坂神社は地元の人から「祇園さん」の名で親しまれています。
日本三大祭りの一つである祇園祭は、八坂神社を起点に7月一か月間開催されているため、国内外から多くの人が訪れます。
四条通りに面した朱塗りの西楼門は、応仁の乱が終わった後(1497年)に再建された境内最古の現像物で、国の重要文化財になっています。
2020年に国宝に指定された本殿は、1654年に江戸幕府第4代将軍徳川家綱が再建したものです。
本殿と拝殿を一つの屋根で覆うという特殊な建築様式が用いられていることから、「祇園造」と呼ばれていて、平安時代から受け継がれています。
境内には本殿を取り囲むようにして20社近いお社が点在していて、いろいろな神様が祀られています。
中でも「美御前(うつくしごぜん)」社は、美に関することならお任せあれという女性にとっては聞き捨てならないお社です。
舞妓さんや芸子さんはもちろんのこと、美容関係の仕事に就いている人、そして「美」に関心を持つ全国の女性が参拝に訪れます。
鳥居の横に沸く「美容水」を2、3滴取ってつけると美容効果があるそうです。
他にも商売の神として祀られている蛭子社には、地元の人から「えびっさん」の愛称で親しまれている蛭子像があります。
お参りした後「えびっさん」を撫でるとご利益があるらしいので、商売をされている方は是非参拝してください。
蛭子社の斜め向かいにある大国主(おおくにぬし)社は、縁結びの神として知られています。
因幡の白うさぎの伝説にちなんで、大国主の尊が白うさぎを助ける場面が石像になっています。
そして八坂神社をまわった後は、隣接する円山公園に足を延ばしてみてはどうでしょう。
公園全体が文化財として保護されていて園内に休憩所もあることから、京都観光で疲れた足を一休みさせている観光客の姿もちらほら見られます。
昔から一帯は風光明媚な場所として知られていましたが、明治に入ってそれまでは寺社が持っていた私有地が官有地になりました。
その結果1886年に市民の憩いの場として円山公園が門扉を開きました。
ひょうたん池を中心に水と石が織りなす日本庭園は、ほっと一息つける心落ち着く場所です。
園内にある、「祇園の夜桜」として知られている高さ12メートルの枝垂れ桜は、昭和24年に植樹されたものです。
毎年春に見事な桜が咲くことから、多くの人がお花見に訪れています。
時期が合えば一度見てみたいですね。
漢字ミュージアムの詳細
住所 〒605-0074 京都府京都市東山区祇園町南側551番地 (京都市元弥栄中学校跡地)
電話 075-757-8686
開館時間 9:30~17:00(最終入館16:30)
休館日 月曜日(休館日が祝日の場合、翌平日に振り替え)
入場料 大人800円、高校生/大学生500円、小学生/中学生300円
小中高生と同伴の大人は300円引(小中高生1名につき大人2名まで)
アクセス 市バス「祇園」より徒歩すぐ
京阪「祇園四条」より徒歩5分
阪急「河原町」より徒歩8分
まとめ
漢字ミュージアムという名前から小難しい場所を想像しがちですが、アイデアがいっぱい詰まった場所で誰でも楽しく見学できるところです。
カップルや同年代の友人と一緒なら、相手の漢字に対する意外な知識が見えるかもしれません。
親子連れなら、お父さん・お母さんの博識をお子さんに伝えるいい機会が生まれるでしょう。
漢字ミュージアムでの興味をきっかけに漢検を受けてみようと思う方もいらっしゃるはず。
そして頭がフル回転した後は、八坂神社や円山公園でリフレッシュしてみてください。
きっと充実した京都観光の思い出が残るでしょう。
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