祇園という言葉から何を想像しますか。
祇園祭、舞妓さん、古い町並み…
ガイドブックでも紹介される写真を思い浮かべる方もいるでしょう。
海外でも京都は日本旅行で訪れたい街ナンバーワンに挙げられますが、
歴史ある神社仏閣巡りと併せて、必ずと言っていいほど取り上げられるのが、
祇園の石畳を「おこぼ」と呼ばれる下駄を履いて歩く舞妓さんの姿です。
優美な着物に身を包み、
丁寧にお化粧をして背筋をピンと伸ばして歩く芸妓さんや舞妓さんを見ると、
そこだけ時間が静止してしまったかのような錯覚に陥りますね。
そんな優雅な姿に憧れて、「舞妓さん体験プラン」が若い女性に人気のようですが、
実際の舞妓さんってどんな一日を送っているんでしょう。
*舞妓さんになるには?
一見華やかそうに見える舞妓さんの世界ですが、
日々の努力と忍耐は並大抵のものではないようです。
そもそも舞妓とは芸妓になる前のいわば「見習い」のことで、
中学卒業時から20歳未満という年齢制限があります。
さらに、容姿端麗で身長160センチ以下体重43キロまでという条件も加わるため、
この条件が1つでも当てはまらないと舞妓さんにはなれません。
少し話は違いますが、相撲界に入るための条件はやはり中学卒業時から23歳未満で、
身長167センチ以上体重67キロ以上だそうです。
年齢や身長体重に一定の規定を設けているのはどちらも同じですが、容姿は関係ありません。
舞妓さんの世界も相撲界も上下関係や古くからのしきたりを重んじる点は共通していますが、
狭き門という点では舞妓さんの方が厳しいですね。
数多くの条件をクリアして「置屋(おきや)」というところで面接を受けて合格すると、
置屋に住み込んで舞妓さんになるための「仕込み」を1年近くします。
置屋は芸能界でいうプロダクションのようなものらしいのですが、
相部屋での衣食住を共にした生活に加えて、朝は誰よりも早く起き、
日中は置屋の「お母さん」や「お姉さんたち」の手伝いや掃除をして、
その合間に唄や三味線のお稽古に通って腕を磨き、
夜はお座敷に出たお姉さんたちの衣装を片づける手伝いをした後、
深夜1時を回ったころにようやく眠ることができるという生活を続けます。
自分で選んだ道である程度の覚悟ができているとはいえ、実際にはまだ成人前の一少女、
その厳しさに心が折れそうになったりホームシックになったりすることもあるはず。
置屋の中には家族や友達との連絡を最小限にするため
携帯を持つことを禁じているところもあるようです。
それでも当初の想像を超えた日々に、途中でやめてしまう少女も多いとか。
ただ近頃では近畿地方からだけでなく、関東出身の舞妓さん希望者もいるようで、
お母さんやお姉さんから正しい京言葉を教わることも1つの課題になっているそうです。
そうやって厳しい修行を積んで1年近く経って、
お稽古ごとの師匠や置屋のお母さんに舞妓さんとして
お座敷に上がるのにふさわしいと認められれば、お姉さん芸妓についてお座敷での仕事を学びます。
そうして晴れて舞妓さんとなっても、鍛錬の日々は続きます。
次は芸妓さんとして独り立ちしていくため、
芸事や立ち振る舞いといった全てのことにおいて日々努力を重ねていく必要があります。
どんなことでも、1つのことを極めるというのは大変な苦労があるのですね。
*祇園とは
世界遺産に指定された建造物が多く点在する京都や奈良には、
国内外からの観光客や修学旅行生が毎年何千万と訪れています。
駅前などは近代的なビルが立ち並び、他の大きな都市と同じですが、
少し街を歩けば迷路のようになっている細い路地や、古いお寺や神社が目につきます。
中でも鴨川と八坂神社に挟まれた祇園一帯は金閣寺や清水寺と並んで、
京都を紹介する観光ガイドのホームページでも「絶対訪れたい場所」として紹介されています。
現在でもお正月には100万人を超える人が参拝に訪れるという八坂神社をはじめとして、
祇園周辺には昔からいくつもの寺社があります。
江戸時代に入ると一帯は門前町として発展していきます。
当時の八坂神社は祇園社という名前で、
そこに参拝する人たちが足を休める場所として茶屋が建ち始めました。
参拝客に来てもらおうとどこの茶屋も競ってお酒や料理を提供するようになりました。
更に、若い女性を店に置いて客を呼び込んで、お互いに競い合うようになります。
これが次第に、晩酌をしながら会話を楽しみ、
唄や三味線に併せて舞踊も見せてくれる料亭に変わっていきました。
ちなみに祇園社が八坂神社と名前を変えたのは、
神仏分離が行われた明治時代になってからのことです。
この祇園において古くから続く伝統行事に「祇園祭」があります。
「源氏物語」にも登場するこの夏の風物詩の歴史は平安時代にまで遡ります。
平安時代前期疫病を鎮めるために現在の八坂神社がある場所に、
当時国内にあった66の国を象徴して、神社に66の鉾を立てて
祇園の神(スサノオノミコト)を祀って災いを取り除こうとしたのが始まりです。
毎年7月の一か月間行われる祇園祭は1000年以上も続く伝統行事として、
ユネスコの無形文化遺産に登録されています。
7月に京都を訪れるのであれば、見てみたいですね。
ところで皆さんは京都の食べ物というと何を思い浮かべますか。
湯葉、湯豆腐、京懐石、京そば、和菓子など伝統的な料理が出てきませんか。
<京都肉×青果サワーMIYAKO>
実は京都は知る人ぞ知る、牛肉文化が根付いている街なのです。
京都府内では約4000頭の和牛が育てられています。
ただこの京都産のブランド和牛は他県に出回ることはほとんどないため、
限定料理と言っていいでしょう。
府内にあるお店で和牛を堪能する機会があれば、ぜひ一緒に青果サワーも試してみたいものです。
季節の果物や、京野菜を使ったサワーを提供しているお店もあるようです。
中でも京都産の明日葉、アスパラガス、みょうがなどで作られたサワーは
他では味わうことができない特別な味。
青果サワーとは
サワーというとレモンやライムを使ったものがまず浮かんでくるのでは。
サワーとは英語の「sour」、酸っぱいという単語が語源になっています。
最初は多分レモンのように酸味の強い果実を使ったことからこの名前がついたのでしょう。
でも最近は梅やしょうが、カルピスなど使う材料もさまざまなので、
地元産の野菜をブレンドしたものがあるのもうなずけます。
サワーはアルコール度が高い蒸留酒(一般的にはジン、ウォッカ、ラム、テキーラ)と、
いろいろな果実から搾り取ったジュースに
甘味成分のあるソーダを混ぜ合わせて作ったもののことを言います。
野菜独特の苦みがちょっと苦手な方でも、ソーダと混ぜてしまえば、
大葉や三つ葉といった名前からは想像できない爽やかな味に早変わり。
試してみる価値ありそうですよ。
お酒が苦手という方のために、ノンアルコールのサワーを置いているお店もあるようなので
スタッフに聞いてみるといいですね。
毎日朝早くから深夜まで忙しくしている舞妓さんたちも、
夕方4時ごろからお座敷に上がる6時ごろまで少しだけ自由になれる時間があります。
そんなつかの間のひととき、舞妓さん同士で息抜きを兼ねて出かけることもあるのだとか。
祇園を歩いていると、友達と連れ立ってにこやかに笑いながら歩く舞妓さんを
見かけることもあるかもしれません。
そんな彼女たちの行先は置屋からさほど遠くないお店じゃないでしょうか。
そこには彼女たちしか知らない特別なサワーと地元産のおいしい牛肉があるのかもしれません。
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