阪急嵐山線の終点、嵐山駅より一駅手前の松尾大社駅から3分の場所に松尾大社があります。
駅前には、朱色に塗られた大きな鳥居が出迎えてくれます。
松尾大社は飛鳥時代に祭祀を起源とする、歴史の古い神社となっています。
開拓・治水・土木・建築・商業・文化・寿命・交通・安産など多数の守護神と崇拝されていますが、めずらしく醸造祖神として、お酒をまつる神社になっています。
またパワースポットとしても有名です。
広い境内を探索してパワースポットを巡ってみませんか?
地元の人に愛されている松尾大社について
本殿は松尾造りとよばれる室町時代の珍しい様式で、外観がとても美しく、
神像館に展示されている3躯の神像とともに国の重要文化財に指定されています。
社殿背後にある霊亀の滝、美しい3庭からなる日本庭園の松風苑など、
見どころが多い神社となっています。
また、お酒をまつる神社らしく、お酒の資料館があります。
神輿庫には沢山の酒樽が積み上げられています。
松尾大社は、この地に住んでいた住民によって誕生しました。
当初は松尾山の磐座(いわくら)を祀って崇拝していたもの、と伝えられています。
五世紀になった頃、朝廷によって招き入れられた渡来系氏族、
秦氏(はたうじ)の集団がこの地に入ると開拓に当たります。
秦氏は松尾山の神を総氏神とします。
秦氏は住民の要望を受け、桂川の堤防や水路を引き、
荒野だった一帯を農耕地に変えていったと伝えられています。
農業が盛んになるにつれ、絹織物なども盛んになっていきました。
秦氏は酒造技術にも長けていて、酒という字がつく人が多かったことから、
酒造と関係が深かったのが伺えます。
そのことから、お酒をまつる神社になったいわれになりました。
松尾大社の本殿の右奥には「亀の井」があります。
名水の井戸で、昔からここの水を酒に混ぜると腐敗しないといわれ、
酒造家達が持ち帰ると言われています。
造ったお酒は神様に奉納され、お酒をまつる神社として信仰を集めています。
地元の人も水を汲みにきて、家庭用などに利用しているとの事。
神社と人々の暮らしが密接しているのが伺えます。
また、境内の見どころのひとつである3000株のヤマブキは、
地元の人が境内を明るくしようと尽力したもので、
いかにこの神社が愛されているのかわかりますね。
庭園の魅力
松尾大社には松風苑の三庭があります。上古の庭・曲水の庭・蓬莱の庭からなり、作庭家・
重森三玲氏による、昭和を代表する庭園として見学出来るようになっています。
重森三玲氏は、東福寺の方丈庭園など、数多くの寺社の庭を手掛けた作庭家であり、
枯山水が特徴の庭園を造る事で知られています。
そんな氏が、晩年に全ての知識を集結し造り出した庭園は、最高傑作の一つに数えられています。
四国・吉野川の緑泥方岩をふんだんに配置し、
総工費は一億円にものぼる贅沢な現代庭園となっています。
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上古の庭
古代に祀っていた磐座を表現した本庭です。御祭神の男女二柱を表した巨石岩と、人の立ち入れない高山の様子をミヤコザサで、それをとりまく多数の岩は随従する諸神を表しています。
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曲水の庭
華やかな平安貴族の雅な空間を表現しています。奈良時代から平安時代に用いられた、曲水庭園を現代風にアレンジ。どこからみても美しい庭となっています。
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蓬莱の庭
大鳥居の近くにある池泉回遊式庭園です。不老不死の仙界を意味する蓬莱。そんな思想が鎌倉時代に流行しました。鎌倉期に代表される回遊式庭園が取り入れられていて、池の形状は羽を広げた鶴のようになっています。池の周囲を巡りながら蓬莱世界の情景を感じとりましょう。
山吹の季節はいつ
ヤマブキの名所でも有名な松尾大社です。
約3000本ものヤマブキが境内に植えられていて、
その小さな花が一斉に咲き誇る様は見応えがあります。
万葉集でも詠われるほど、古くから親しまれてきたヤマブキ。
細くてしなやかな枝が風に揺られている様にちなんで、
山振り(やまぶり)と表記された事が語源となっています。
低い山や丘陵地に生息していますが、鮮やかな黄色の美しい花が咲くことから
鑑賞用として親しまれてきました。
境内のヤマブキは、自生していたものを地元の人の手によって株分けをし、
植樹したもので、現在のように群生したものになりました。
桜の時期の後、開花時期の4月中旬から5月初旬ごろにかけて山吹まつりが開催されます。
期間中は甘酒の無料配布やフリーマーケットなどのイベントが行われています。
3000本のヤマブキが、一斉に山吹色に咲き誇る様は壮観なので、
訪れるのにオススメの時期になっています。
境内にある絶品みたらし団子
松尾大社境内入ってすぐの場所にある甘味処・団ぷ鈴は、
おいしい京風みたらし団子が味わえるスポットとなっています。
境内の中にあるので、参拝時に気軽に休憩に立ち寄りたいお店です。
みたらし団子は自社工場で作られています。
京都のみたらし団子は、ひとつひとつが小さい団子になっているのが特徴です。
焼きたての団子は、香ばしくてモチモチした食感を味わう事ができます。
食べやすいので、女性に人気となっています。
また、みたらし団子にきなこをまぶした、きなこ団子も販売しています。
団ぷ鈴では京都の名物・にしんそばもいただくこともできます。
にしんの身がやわらかく、出汁の旨みがきいていておすすめです。
松尾大社の情報
重要文化財となっている本殿や、見応えのある庭園のほかに、本殿正面門の左右には、
幸運の双鯉と幸運の撫で亀が納められています。
大神様が保津川をさかのぼる時に、急流は鯉に、穏やかな流れは亀に乗って進んだという伝承から、鯉と亀が神様のお使いとして、大切にされてきました。
撫で亀は寿命長久や家庭円満のご利益、双鯉は恋愛成就や夫婦円満、
立身出世のご利益があると言われています。
幸運の双鯉と幸運の撫で亀は、パワースポットと呼ばれているので必ずチェックしてみてください。
また、酒造家や地元の人も訪れる亀の井は、よみがえりの水ともいわれ、
近くにある霊亀の滝もパワースポットになっています。
松尾大社は祭儀も多く、山吹まつりの他に、4月の20日以降の日曜日に、
神輿が川を船で渡る神幸祭「おいで」や、21日目の日曜日に、
松尾橋を渡り本社に戻る環幸祭「おかえり」が有名で、活気のある賑わいをみせています。
本殿特別参拝
参拝受付:午前10時、午前11:30、午後1時30分、午後2時30分
参拝料: 1名に付き 1,000円(幼稚園児以下無料)
※祭典などにより変更の場合あり。
※正月7日間は中止となります。
庭園・神像館共通
拝観料: 大人500円 学生400円 子供300円
拝観時間: 平日・土曜 9:00~16:00
日曜・祝日 9:00~16:30
松尾大社
京都市西京区嵐山宮町3
TEL:075-871-5016
まとめ
松尾大社は京都でも歴史の古い由緒ある神社で、約十万戸と呼ばれる氏子がおり、古くから地元の人々に愛されてきました。
多くの願い事の守護神であり、特に醸造祖神として全国から醸造家が訪れる、
お酒をまつる神社となっています。
境内には美しい庭園と、パワースポットがあり、見どころが沢山ある神社です。
「いつまでも、おいしくお酒が飲めますように!」と、お願いするのもよいかもしれませんね。
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