京都には町家ホテルが多数あります。
でも全国的に見ると、町家ホテルはそれほど多くないでしょう。
古い歴史を持つ京都だからこそいくつも町家があって、戦火を免れた京都でなければそこまでたくさん残っていないと思いませんか。
コロナ禍の2020年秋に三条にオープンした町家ホテル、「nol kyoto sanjo」もそんな町家を改築したホテルです。
ホテルのコンセプト
ホテル名「nol」ってどんな意味だろう?何かの略かな?
そんな風に考える人が多いはず。
Naturally(自分らしく、自然体で)
Ordinarily(普段通り、暮らすように過ごし)
Locally(その土地の日常に触れる) (ホテルHPより引用)
と、この3つの単語の頭文字からつけられたそうです。
「お客(よそもの)として過ごすのではなく、昔からそこで生活しているかのように振舞ってもらえるように」
ネーミングにはきっとそんな願いが込められているのでしょうね。
ホテルのある三条は、錦市場や花見小路が徒歩圏内です。
古き良き京都の面影を残す三条に、ずっと前から暮らしているかのように滞在してみませんか。
館内の設備
地下鉄烏丸御池駅から徒歩5分のところにある「nol kyoto sanjo」は、その不思議な外見が人目を惹きます。
三条という土地柄、古いものと新しいものが入り混じっていますが、ホテル正面に堂々と掲げられた「キンシ正宗」のロゴと酒樽にまず???
でも白い暖簾には「nol」と確かにホテルの名前が刻んであります。
ここは京都では有名な酒蔵「金鵄正宗」(1781年創業)の販売店だったところです。
ロビー・ラウンジは町家だった当時の面影を留めつつも、現代風にアレンジされた居心地のいい異空間を作り上げています。
この宿泊者専用ラウンジでは、ウェルカムドリンクにキンシ正宗の日本酒が用意されています。
カクテルのようにフルーティーな日本酒も置いてあって、「日本酒はどうも苦手」という人の意識を180度変えてくれます。
しかもこのラウンジ、飲み放題というから驚きです(夕方から夜のみですが)。
アルコールを摂らない人のために、ソフトドリンクもあります。
更に京都の老舗珈琲店、「unir(ウニール)」が本格的なコーヒーを提供していて、好きな時に飲めます。
日本酒もコーヒーも部屋に持って上がれるので、ゆっくり味わうことができますよ。
「三条に暮らすように」がコンセプトなので、ホテル内にはレストランがありません。
代わりにキッチンがついていて、錦市場などで新鮮な京の食材を買ってきて調理することができます。
ラウンジの日本酒に合うおつまみを買って、部屋呑みするのもありですね。
また洗濯機があるので、長期滞在者にはぴったりのホテルです。
地域に密着した気取らない町家ホテル、しかも好立地、こんなに条件の揃ったホテルを三条界隈で見つけるのは難しいと思いますよ。
ところが「nol kyoto sanjo」の魅力はこれだけではありません。
何と各部屋に檜葉(ヒバ)風呂までついているんです!
檜葉風呂があるホテルは、古都京都と言えど数は少ないでしょう。
部屋の中は檜葉風呂から流れてくるほのかな檜葉の香りで満たされています。
部屋タイプは全部で3つありますが、どのタイプの浴室も漆黒のタイルで床と壁が覆われています。
「Tsuboyu Superior」タイプの部屋は、何と部屋の真ん中に名前の通り丸い壺のような檜葉風呂が置かれています。
昔のマンガやテレビドラマに登場する、あの丸いお風呂です。
こんな浴槽は滅多に体験できませんね。
「Tsuboniwa Suite」の部屋の浴室からは、文字通り窓から坪庭を眺めることができます。
檜葉風呂に浸かって坪庭を眺めつつ、清酒をたしなむ、これ以上の贅沢があるでしょうか。
近くの観光
京都御苑
ホテルのある三条から京都御苑までは歩いて15分程です。
広大な御苑の中には、平安時代から江戸末期まで天皇のお住まいだった京都御所をはじめ、上皇のお住まいとして使われていた京都仙洞御所があります。
京都御所の中にある「御常御殿」は明治天皇に至るまで16代に渡って、天皇の住居となったところです。
御所の中で一番大きな建物で、広間や寝室を含め15部屋もあります。
平安時代に内裏として建てられ、後に儀式の場として使用されていた「清涼殿」は大規模な改修工事が終わり、この春2年半ぶりに一般公開されたばかりです。
京都御所の南東に位置する京都仙洞御所は、四季を代表する木々が彩る風光明媚な庭園です。
ここにある大宮御所は、現在でも天皇陛下が京都を訪問された際の宿泊施設として使用されています。
どちらも一般公開されていて、無料の見学ツアーが行われています。
宮内庁の管轄なので、興味のある方は事前に宮内庁のHPで予約してから出かけましょう。
京都御苑の入り口となっている門はいくつかあります。
その中の1つ、京都御苑の西側中央に有名な「蛤御門」が建っています。
門や側面の柱など至る所に弾痕の跡が見られ、戦闘の激しさを物語っています。
御王神社
そんな蛤御門の正面に「御王神社」と呼ばれる神社があります。
御王神社は足腰のご利益がある神社として、地元民に知られています。
ここには、和気清麻呂(わけのきよまろ)公という、平安京の建都に貢献したと伝えられる人物が祀られています。
奈良時代末期、天皇の座を狙う当時の実力者・道鏡によって清麻呂公は足の腱を切られた上に九州に流刑となりました。
ところが九州に下る途中、道鏡の刺客に襲われます。
そこへ突然300頭ものイノシシが現れ、清麻呂公を守って道案内をしました。
しかもその後、清麻呂公の足は完治して歩けるようになったそうです。
この故事にちなんで境内には、イノシシが至る所に見られます。
狛犬の代わりに「狛猪」もいます。
足腰の病気やけがの治癒を願う人、スポーツにおける足腰の安全を願う人などが多く訪れます。
確かに足腰は日常生活の基本かもしれません。
足腰が丈夫でないと、京都観光は楽しめませんよね?
ホテルの詳細
住所 京都市中京区境町通姉小路下る大阪材木町700
電話 075-223-0190
チェックイン 15:00
チェックアウト 12.00
アクセス 京都市営地下鉄烏丸線烏丸御池駅5番出口より徒歩5分
京都の夏は非常に暑く、少し歩くだけで汗びっしょりです。
反対に冬は凍てつくような寒さで、夕方日が暮れると体の芯まで冷えてきます。
nol kyoto sanjoの檜葉風呂は夏の暑さを忘れさせてくれますし、冬の冷気でかじかんだ手足や体をぽかぽかと温めてくれること間違いありません。
キッチンも洗濯機も完備された新しいタイプの町家ホテルは、一泊だけじゃもったいないですね。
ホテルのコンセプトにもあるように、三条に暮らすような感じで数日滞在しませんか。
檜葉風呂も日本酒も心行くまで楽しめますよ!
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